- 製品発売時期 2010年1月
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マグネシウム合金とは?
マグネシウム(以下、Mg)は、比重がアルミニウムの約2/3、鉄の約1/4で、構造用の金属材料では最軽量です。Mgは重量当たりの強度(比強度)が高く、部品軽量化に役立つ一方、腐食しやすく加工性が悪いという欠点もあります。
そのため、さまざまな元素を添加して特性を改良したMg合金が一般的に用いられます。なかでも、Mgにアルミニウムを9%、亜鉛を1%添加し、弱点である耐食性を向上させたAZ91合金は自動車部品を中心に幅広く用いられています。一方で、AZ91合金は合計で約10%もの添加元素を含むために圧延加工やプレス加工が難しく、従来はダイカスト*などプレス加工の必要がない鋳物部品に限定して使用されており、用途をさらに拡大するためにはプレス部品への適用が要望されていました。
住友電工のマグネシウム合金製品の特長
当社は、独自の連続鋳造技術、電線や特殊鋼線の加工組織制御技術、そして材料の解析技術を応用して、AZ91合金の結晶組織を従来比で1/10以下に微細化して、板材に加工する技術の開発に成功し、世界で初めてプレス成形が可能なAZ91合金板材の量産を開始しました。さらに、AZ91合金板材を使用して構造部材を製造するにあたって必要となる温間プレス加工技術、接合技術、表面処理技術についても開発を進めており、すでに温間プレス加工については社内での量産をスタートしています。
- 高強度
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- 圧延加工により強度を高めるため、比強度は実用金属中トップクラスです。
- 高剛性
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- 比重が軽いため、厚さを最適化することで、軽量性と剛性の両立が可能。
- 高耐食性
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- Mg合金中、最高レベルの耐食性を実現。
- 高加工性
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- 温間成形では深絞り鋼板なみの成形加工が可能。
- 優れた塗装性
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- 表面処理、塗装などの一般的な加工のほとんどを適用可能。
- リサイクル性
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- 鉄やアルミニウムより少ないエネルギーで再溶解、リサイクルが可能。
今後の展開
現在、当社ではすでに量産段階にあるAZ91合金製品の市場拡大を目指すとともに、AZ91合金とは別の特性を有するMg合金の開発を進めています。一例としては、より安全に切削加工や研磨加工が可能となる難燃性Mg合金、また温間プレス成形においてアルミニウムよりも高い加工性を有する高成形性Mg合金など、アルミニウムや鉄と比べ欠点とされてきた特性を改善したMg合金の開発に成功しています。これからもお客さまの用途に合ったMg合金の開発に取り組むとともに、鉄やアルミニウムに代わる地球環境にやさしい素材として、Mg合金の提案・拡大を進めていきます。
企画業務部
AZ91合金に対してお客さまからどのような声をいただいていますか?
当社のAZ91合金板材は、同じAZ91合金のダイカスト鋳物と比べて強度が高く、耐食性に優れているため、ノートパソコンや携帯電話などの筐体部品に使用され、壊れにくく、外観意匠が良い部品として喜ばれています。
また当社のAZ91合金板は、温間成形性が良く、アルミニウム合金板と比べてより複雑な形状に加工できるため、構造部品として幅広く適用できる可能性があると言われています。
マグネシウム合金の用途として期待される分野は?
特に自動車、鉄道、航空機といった輸送機分野では燃料改善や性能向上を目的とした車両や機体の軽量化ニーズが高まっています。最近では、自動車のエンジンやトランスミッションの部分にマグネシウム合金部品が採用されており、今後も増えることが期待されています。