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SEI子さんと学ぶ もっと知りたいあの製品技術

今月の注目製品
多孔質金属体セルメット®

今回は、幅広い分野で活躍し、発売から約40年経った現在でも、多くのお客さまからお問い合わせをいただく製品「セルメット®」をご紹介します。

製品データ

多孔質金属体「セルメット®」って何?

セルメット®は、骨格が海綿のように3次元に網目状になっている多孔質金属体です。気孔率が最大98%と、金属粉末や金属繊維を焼結した多孔体に比べて遙かに大きな気孔率を持っているため、通気抵抗が小さく、低圧力損失で流体の処理ができます。また、比表面積が高いことや、熱伝導性、電気伝導性にも優れている点、さらに打ち抜き加工やプレス加工、パイプ加工などが容易に行えるなど加工性にも優れている点もセルメット®の特長の一つです。現在、富山住友電工(株)で量産しているニッケル、ニッケル・クロムのセルメット®だけでなく、研究部門と共同で、アルミや合金などの新しいセルメット®の開発に取り組み、セルメット®製品のラインナップの拡充を図っています。

多孔質金属体「セルメット®」はどういったところに使われているの?

当社のセルメット®は発売当初、熱電導性を活かして暖房機器に用いられたり、高い剛性や面密度を活かし、優れたスピーカー振動板に採用されました。その後も、上述のセルメット®の優れた特長を活かし、最大用途となったニッケル水素電池などの極板や、厨房用グリスフィルタ、工業用脱臭触媒の担体、エンジンや風切音を低減するサイレンサーなど、さまざまな産業分野で採用されています。

技術者に聞きました
富山住友電工(株)技術部
電子材料技術課
塚本 賢吾(左) 中川 俊隆(右)
塚本 賢吾(左) 中川 俊隆(右)

セルメット®を製造する上で難しいことはなんですか?

セルメット®は骨格となるウレタン樹脂多孔体を導電化処理した後に、金属めっきを施し、樹脂多孔体と導電被覆層を除去して金属めっき層を還元することにより作製します。
セルメット®を製造する上で難しいことは、基材のウレタンシートは非常に柔らかいため、安定して連続フープで走行させる点、また金属多孔体内にある樹脂や導電被覆層を完全に除去する点が挙げられます。
そのため、安定した連続めっき設備や熱処理の設備開発、ウレタン、導電処理などの材料開発を実施し、安定生産を実現しております。また、最大の用途である車載ニッケル水素電池用の製造においては、異物混入が無いように持ち込み防止、設備管理の徹底を図っております。

当社製品のどういった点がお客さまに喜ばれていますか?

セルメット®が持つ、通気性、毛細管力、液体保持、電気伝導性、熱伝導性、耐食・耐熱性、ガス拡散性といった種々の特徴・性質・機能から、発売開始から約40年経った現在でも幅広い事業分野のお客さまから多くのご相談を受けます。
当社ではその適用・採用に向けてはお客さまが求める特性への改善や、セルメット®の加工技術の開発まで踏み込んだ開発を進め、お客さまのニーズに沿った製品を開発・提供している点でも評価していただいております。


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