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SEI子さんと学ぶ もっと知りたいあの製品技術

今月の注目製品
LTE小型基地局用
オールインワン無線モジュール 「TPM-2606P2」

今回は、スマートフォンなどの通信機器が安定した通信を行うために欠かせない製品をご紹介します

製品データ

小型基地局用オールインワン無線モジュールってなに?

近年のスマートフォンなどの普及により、携帯電話システムの通信量は爆発的に増加しており、通信速度の低下などの問題が起こっています。その有力な対策として、通信が集中する小規模エリアを小型基地局によって専用にカバーする「スモールセル」の導入が始まっています。この小型基地局向けに、携帯電話基地局用無線送受信装置(リモートラジオヘッド)の技術をベースに当社が開発した製品が、オールインワン無線モジュール「TPM-2606P2」です。

オールインワン無線モジュール「TPM-2606P2」の特長

今回開発した「TPM-2606P2」には、今後普及が進む2.6GHz帯のTD-LTE(※1)用基地局に必要な全ての無線回路(送信増幅器、受信増幅器、送受切替スイッチ)が内蔵されており、それぞれの回路に次の特長があります。

①LTE基地局の消費電力の多くを占める送信増幅器にドハティ型(※2)を採用し、40%以上(※3)の高い電力利用効率を実現。

②受信増幅器にはバランス型を採用し、低雑音、高耐入力電力とアンテナ端子の低反射特性を同時に実現。

③サーキュレータ(※4)との組合せにより、低損失な送受切替スイッチを実現するとともに、スイッチを通過する電力を低減し信頼性を向上。

④高効率の送信増幅器に不可欠な歪み補償回路を内蔵し、外部に高価な歪み補償回路が不要。歪み補償回路の内蔵によって、製造現場での増幅器との組合せによる規格未達などのトラブルも防止。

「TPM-2606P2」はこれらの特長を持つ無線回路をコンパクトにモジュール化し、基地局メーカーでの開発・製造期間の大幅な短縮、スモールセルの普及に寄与します。

※1
TD-LTE:3.9世代の携帯電話通信方式LTEのうち、送信と受信を時分割で切り替える方式。
※2
ドハティ型増幅器:増幅器を2並列で構成し、出力電力が低い時は一方の増幅器のみを動作させ、出力電力が高い時は両方の増幅器を動作させることにより、高出力と高電力利用効率を両立させる増幅器。
※3
LTE信号6W出力時
※4
サーキュレータ:3端子を持つ受動電子部品。
技術者に聞きました
インフォコミュニケーション・社会システム研究開発センター 
無線伝送システム研究部
西村 修一
西村 修一

開発でどんなところに苦労しましたか?

小型基地局用ということでモジュールの小型化を実現するために、使用部品の小型化や回路の高密度化に挑戦しました。一方で小型化により熱が狭い範囲に集中するため、その放熱対策のためプリント基板の裏面に金属板を半田付けするのですが、プリント基板と金属板をぴったりとつけるには実装上の工夫が必要でした。工場で条件出しを繰り返し、製造部門と一体となって製造治具の改良を進めることで、精度良く実装することが可能になりました。

当社製品のどういった点がお客さまに喜ばれていますか?

アンプで無線信号を増幅するときに供給したエネルギーの多くは熱となって浪費されてしまうため、アンプの電力利用効率を上げて消費電力を下げることが重要です。本モジュールは内蔵の歪み補償回路のおかげで高効率化が実現できており、基地局装置に組み込むことで、複雑な制御をすることなく低消費電力と良好な無線特性を得ることができるという、導入が容易な点がお客さまに喜ばれています。


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