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SEI子さんと学ぶ もっと知りたいあの製品技術

今月の注目製品
フラットマルチドリル MDF型
製品データ
フラットマルチドリル MDF型

フラットマルチドリル MDF型とは…?

当社では、自動車部品や航空機部品、電子部品に至るまでさまざまな穴あけ加工に用いるドリルを製造・販売しています。

フラットマルチドリル MDF型は、先端のとがった通常のドリルでは不可能な傾斜面や円筒面などの平らでない面へも穴あけ加工が可能で、さまざまな用途で使用可能な工具です。

また、穴あけ加工時に貫通穴出口部に形成されるバリの大きさを、通常のドリルに比べ2分の1以下に抑制します。現在、ドリル径φ0.3~20.0mmに対応しており、今後さらにラインナップを増やしていく予定です。

フラットマルチドリル MDF型の特長は?

先端角が180°であるため、平面だけでなく、傾斜面や円筒面などあらゆる面への穴あけ加工が可能です。また、穴底が平らになるので、高能率な座ぐり加工※も可能です。これを実現しているのが、RSシンニングという新しい中心刃形状です。これにより、肉厚を待たせて剛性を上げる一方で広い切りくず排出溝を確保しました。さらに、溝を高品位に仕上げることでステンレス鋼への加工も実現しています。

座ぐり加工:ナットなどのすわりをよくするため、穴上面を平らにすること。
技術者に聞きました
住友電工ハードメタル(株)
デザイン開発部 ラウンドツール開発グループ
川上 佑馬
川上 佑馬

フラットマルチドリル MDF型を開発する上で難しかったことは何ですか?

平らでない金属に穴をあけるには、加工面にしっかりと刃先を食い付かせるために、刃先の鋭さと負荷に耐えられる強度が必要です。しかし刃先を鋭くするとドリルが負荷に耐えられず折れてしまい、強度を上げると切れ味が悪くなり食い付く前に折れてしまいます。刃先の鋭さを保ちつつ工具の強度を上げ、かつ、負荷を低減させるために試行錯誤を重ねた結果、RSシンニングという独自の中心刃形状を設計しました。これにより、加工時の振動を抑え、高い切れ味と高強度を両立し、前述のフラットマルチドリル MDF型の優れた特長を実現できました。

当製品のどういった点がお客さまに喜ばれていますか?

一例として、表面がいびつな形状のところに、ドリルで深い穴をあける場合、事前に表面を平らにしておく必要があります。現在はエンドミルと呼ばれる工具で、まず表面を平らにすることが一般的ですが、フラットマルチドリルを用いると穴加工で平らな面を一工程で作れるので、加工時間を短縮できます。また、エンドミルより工具寿命が長く、生産性向上と工具費低減を両立できるため、お客さまから喜ばれています。


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