- 販売開始 2016年9月~
高強度アルミ導体溶接用ケーブルとは?
住友電工は、従来の銅に代え高強度アルミを導体に使用したケーブルを、溶接用として国内で初めて開発しました。本製品はアーク溶接機*に使用されますが、船舶、橋梁をはじめとした大型構造物を製造する工場では、作業者がアーク溶接機や溶接用ケーブルを作業場所に運搬することが繰り返されます。作業場所が変わるたびに運搬するため、ケーブルの重さは作業者にとって大きな負担となっており、溶接用ケーブルの軽量化が切実に求められていました。当社は、作業者の負担軽減、ひいては溶接作業全般の作業効率向上に貢献することを目指し、本製品の開発に取り組みました。
高強度アルミ導体溶接用ケーブルの特長は?
導体に高強度アルミを使用することで、軽量化に加えて、ケーブル取りまわし時の引張(ひっぱ)り力に耐える強度を有しています。また、アルミは銅より電気抵抗が大きく、同じ電流を流すと導体温度が高くなるため、被覆材(シース)に耐熱性を持たせる必要がありました。そこで、当社独自配合技術によって従来品よりも耐熱性を向上したシースを用いることで、導体サイズを大きくすることなく、従来製品と同一サイズでの提供が可能となりました。
本製品について、お客さまからどのような声をいただいていますか?
従来の銅導体の溶接用ケーブルと比べ、とにかく軽いとの声を多くいただいています。溶接作業場ではケーブルを担いで階段を昇降する場合があり、お客さまの中には中高年層や腰痛でお悩みの方もいらっしゃるため、作業現場においてケーブルの軽量化は切実な願いでした。このため「高強度アルミ導体溶接用ケーブル導入で溶接作業労働環境が一変する」と評価してくださるお客さまもいらっしゃいます。
今後の展望は?
船舶や橋梁分野以外にも、震災復興や東京五輪に向けて建設が進む建築物で使用される鉄骨の製造には溶接作業が伴います。また、トンネル建設で使用される掘削機の製造などにも溶接がおこなわれています。このような、都市開発やインフラ整備に溶接は欠かせませんが、現在これらに使用されている溶接用ケーブルは導体に銅を用いた製品が中心となっています。今後さらに、本製品を普及させ、ケーブル軽量化により溶接作業労働環境の改善に貢献したいと考えています。